
この記事では異常な進路を取って爪垢を残し今なお鹿児島県南部に停滞する台風12号が引き起こした災害について消防目線で紹介します。
今回の台風はまだ収まってませんが、すごい進路でしたね。
ゆっくりと北上してきたかと思えば西日本を横断するかと思わせるような進路を取り各地で被害が大きくなっているようです。
台風12号の災害について消防目線で思うこと
なぜこの話題を書こうかと思ったのはあるツイートを見つけたからです。
今回の台風被害について消防士である父から#台風12号 #台風 #小田原 #湯河原 #熱海 pic.twitter.com/3XawSvjqWy
— 小松隼也 (@SkBelieve) 2018年7月29日
このツイートを簡単にまとめると、台風12号の被害で救急車が高波に巻き込まれて引き釣り落ちそうになったものです。
そのときのテレビ局の取材の仕方のひどさ
救急車の適正利用について
の内容でした。
このツイートから思うことがあったので書きます。
台風12号の異常な進路、テレビ局の取材と救急車適正利用

消防をしていれば、火災、交通事故、台風などでテレビ局から災害等がなかったか?と連絡がきたりすることがあります。
また救急車の適正利用は最近ではよく言われていることです。
テレビ局の取材

今回のテレビ局の取材は消防側が「今は無理」という態度をとったのに、すぐにかけ直してくるといった内容です。
正直、災害が起こっているときに消防の通信室はけっこうパニック状態というか、時間経過や無線だけで現場の状況を把握しないといけないことから、かなり忙しい状態です。
下手したら現場よりもあたふたしています。
災害が起これば必ずテレビ局や報道機関から電話がきます。
テレビ局からの電話が多いと本当にそれどころじゃないんだよ!
という感情になるし、別に報道なんて後からでいいじゃんって思います。
今回のツイートでは災害中に後ほどといったらすぐかけ直してきたということですが、自分も報道機関からの電話で業務を邪魔されたことはあります。
自分の管轄外の派出所付近で交通事故が夜に起きたときに、けっこう大きい交通事故でした。
救助隊もポンプ隊も出動し、救急隊は3次出動に備えて通信室で待機。
無線のやりとり、時間経過、現場状況、補勤等は必要なのか、警察とのやり取り、病院への対応の準備などいろいろすることがあります。
そこで報道機関からの電話がきました。
「今、交通事故あったんですよね?どこら辺ですか?」
「○○町というとこです」
「え、どの辺ですかねえ?」
「○○より少し先に行ったところです」
「え?よく分からないんですけど、えーとどう行けばいいですか?」
「現場状況はこちらも詳しく把握できていなくて、今、対応し兼ねないので電話を切ってよろしいでしょうか?」
「は?いやいや、現場の状況が分からない訳がないじゃないですか、本当に消防ですか?」
「切ります」
このやりとりを本当にしたことがあります。
盛ったりなどは一切していません。
こういう電話がほんとうにムカつくというか、こっちは傷病者を少しでも早く病院に運びたい、通信でのやりとりが重要になってくるのにそれを妨げるような行為。
今回のツイートも同じですよね。
他にも、台風のとき(まだ暴風域に入るか入らないか)に自分が朝の4時から通信勤務で通信室に入っていました。
すると電話が一本なりました。
「うわ、加入かな…なんだろう」
と思って出たら報道機関からの電話でした。
「災害等なかったでしょうか?」
そりゃまだねーよ、雨ふら降ってねぇわ!と心の中では言っていましたが…
他の隊員たちも加入の救急かと思って起きてきて、そんな電話かよ、この時間にするか?という表情…
災害に備えて仮眠しているのに起こされたという感じですね。
その日は2時まで救急で出ていたので1時間も寝てない中でした。
報道機関は基本的に自分たちの身の回りのことを伝えてくれるので味方です。
だからこそ行き過ぎた取材や業務を妨げるような行為はしてほしくありません。
せっかく世の中のことを伝えていいことをしているのですから。
これからの改善に期待したいです。
救急車の適正利用

今回のツイートで傷病者は「ただの熱」だったとありますが、ただの熱でも状況によっては救急車を呼ばないとという状況もあるので一概にこれを批判することはできません。
一人暮らしで不安だったかもしれない、台風接近しているのに一人じゃ病院に行くには不安だという状況かもしれない…
などありますので。
確かに熱だけで救急というのもどうかとは思いますが、本人が相当きつくて一人じゃむりだと判断したのであればその判断を尊重したいと思います。
しかし、救急車をタクシー変わりで使う人はたくさんいます。
自分が、これタクシーじゃんって思ったことのある経験は
・尿が出ない(どこも痛くない)から救急車(娘さん車あり)
・病院に行くまでに体調が悪くなるかも、だから3つとなりの市まで救急車で連れて行って
・酔っぱらってホテルまで遠いからホテル近くの病院に連れていって
などなど数え切れないほど適正利用を頼むよ…と思った事案はあります。
しかもそれが夜中にくると、手当がついてしまうので(バイタル等を図ったり救急業務を行うと出動したとされます)税金の無駄遣いです。
別の記事でも言ったことがありますが、救急車って、手当や給料やガソリン代、機材費などひっくるめた1回出動する費用の平均が5万円らしいです。
1回5万円ですよ?
それを税金でまかなっています。
どうでしょうか?
適正利用しなきゃなと思いませんか?
台風12号の深刻な被害、取材の仕方、適正利用のまとめ
・報道機関は現場の忙しさを尊重してほしい
・相手が今は無理と断ったら傷病者もいるのだから考えて
・救急車の1回の出動平均は約5万円
・適正利用をしなければ税金泥棒
すべてが円滑に進む現場ばかりではありません。
なのでそこをくみ取っていただけたらと思います。
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